「パンドラの鐘」は1999年に、野田秀樹が世田谷パブリックシアターで、蜷川幸雄がシアターコクーンで、ほぼ同時期に上演され、「演劇界の事件」とまで言われた作品だそうです。
1999年ごろはちょうど仕事も忙しい時期で、少し観劇から離れていた時期なので私はまったく知らない事件です。
今年は蜷川さんの七回忌の年だそうで、「ああ、もうそんなになるのか」と思います。
今回の公演はポスターや写真は蜷川実花さんがご担当。
野田秀樹の演劇は奥が深いなーといつも思います。
今回は杉原邦夫演出でしたが、野田さんの脚本は言葉が面白い。アドリブできるところもあるだろうけど、言葉を間違ったらテーマを見失うようなところがたくさんあります。
それから、はじめのうちは何だかわからないのだけど、だんだんわかってくる、ということがあります。
今日も「長崎の原爆投下のことか」とわかったのは中盤だったし、
鐘が道成寺の鐘のようでもあり、でも原爆の形にも見えるようにできていました。
鐘の上にヒメ女が立ってるのは完全に「京鹿子娘道成寺」でしたね。さすが杉原さん。
現代と古代を行き来する芝居。しかも原爆を体験して生まれ変わって古代にいるというミズヲ(成田凌)。(最後の方でわかるわけですが)
「水をくれ、水を」という叫びが彼の名前「ミズヲ」になった。
彼は「みなしご」=「皆、死後」とかね、それで葬式屋をやっている。
初めて人を見たのは死んだ人だった、とか、死んだ人を埋めるのが仕事、とか。
なんだろうなぁ。特に「悲劇」でもないのだけど、なぜか涙してしまった今日の舞台。
成田凌さんは舞台向きですね。すごくよかった。
最後にコクーンの舞台の搬入口が開いて、古代と現代(まさに今)とが重なる。
セリフもないし、成田凌さんが一人舞台にいるだけだけど、
とても考えさせられる作品だった。
野田さんってすごい人だな。
夢の遊眠社時代から見てるし、NODA MAPもだいたい行ってるけど、
若い時はよくわからなかったな。去年の「フェイクスピア」もすごく良かったし。
今度の「Q」も楽しみにしています。
戯曲集とかあったような気がするな。細かく台本読んでみたい。
私の残りの人生の夢は演劇に関わることだな。音楽担当とかしてみたい。
そういえば、コクーンの搬入口が開くのは、コクーン歌舞伎で勘三郎がやったね。
あれも面白かったね。
東京公演は2022/6/28まで。(チケットが残ってるのかはしらないけど)
大阪公演 森ノ宮ピロティホール2022/7/2~7/5