観たり、聴いたり、思ったり
【観劇】 2021年6月9日 「フェイクスピア」NODA MAP 東京芸術劇場プレイハウス

 久しぶりの東京芸術劇場。芝居。NODA MAP

チケットは入院前に取っていたので、現在の自分だったら「池袋なぁキツイな、やめとくか」と思ったと思う。でも入院前の自分を褒めたい。

そしてチケット引き換えがかなりあとだったのと、ホントに行けるかわからなかったので、座席を確認もしてなかったら、行ったらなんと最前列通路側という最高の席。眼の前に一生くんが!

【この先ネタバレ注意】

「フェイクスピア」というタイトルから予想していたものとは全く違って、最後は涙した。

シェイクスピアを、想起させるセリフは、たしかにあちこちに散りばめられていて、あぁ、これはハムレット、これはマクベス、なんて思いながら観ていた。「言葉」について語るのも、「言葉、言葉、言葉」はハムレットの中のセリフだし、なんて思ってた。

「永遠プラス36年」の36年の意味はかなり後半になるまでわからなかった。「812日」という日付にもなかなかピンとこず、引っかかりつつ見ていた。

途中に声の入った箱からの言葉が「頑張れ、頑張れ」「気合い入れろ」だったあたりから、私の中の記憶が奥底から上がってきて、あれ、これはもしや

何気なく出てきた「これはだめかもわからんね」この一言で確信した。

これは、日航機墜落事故の物語になってると。

ほぼ最後の10分くらいは123便のボイスレコーダーの音とセリフの再現、墜落する飛行機の再現だった。

野田秀樹の芝居は割と解りづらいと思う。でもいつも何か心打たれるものがあって、見に行くのだけど、この「フェイクスピア」は今までとは違う感じがした。初めの方は今までの野田さんの感じなのに。

そして、なぜ今、123便なのか。

パンフレットはなんとなく始まる前に買ったので帰りの電車の中で一通り読んだけれど、そのことについては触れられてない(と思う)。

私は、日航機墜落事故は私の中ではとてもショックな事故だったので、一時期いろいろ調べていたから、再現のセリフなども、ちょっと辛かった。

とにかくすごい芝居だった。

そしてパンフレットが印刷屋泣かせだなぁ。こんなギリギリまで文字載せて。

【ミュージカル】 2021年6月1日 「レ・ミゼラブル」

「レ・ミゼラブル」(ミュージカル)観てきました。

えーと、33年前に初見なので、もう何度目でしょうか(笑)

昔の演出(盆が回る)のほうが好きだし、やっぱり最初に見た鹿賀丈史さんのジャン・バルジャンに敵うことは私の中ではありえないんですけど、

今回は、一昨年観たのより、10年くらい前に観たのより、ちょっと違和感。

まず、音楽が早い。曲間も詰めてる感じがする。ただこれはこれはもしかしたら夜公演のコロナ対策かなと思いました。

25分の休憩を挟んでも3時間で終わってるのでかなり早いですよね。

それと今までになかったセリフ(小芝居的な)や、歌詞の変更が多かった気がする。まぁ、初演から随分変わってるんだけど、それにしても、という感じがした。

演出、というか現場での監督さんが変わったのかな、と思った。

照明もちょっと暗い。舞台がとても狭く見えた。コゼットとマリウスの結婚式はもっと明るくてもいいのでは。

役者も歌も芝居も下手ではないけど、ちょっと違うんだよなぁ、という気がしてしまった。

要するに感情移入出来なかったんだよね。だいたいはファンティーヌの「夢破れて」で泣けたし、エポニーヌの「オン・マイ・オウン」で泣けて、最近は「彼を帰して」とかでも泣くし、エポニーヌやガブローシュの死は辛いし、「民衆の歌」は一緒に歌いたくなった。

でも今日はちょっと違ったんだよなぁー。

またイギリス版の25周年記念の特別番組DVD見て泣こう。

あと加賀バルジャンのCD聴いて泣こう。

あ、斎藤さんはなかなかテナルディエ、合ってましたよ。

【映画】 2021年5月28日 「HOKUSAI」


HOKUSAI」を観てきました。今日から公開かな?

うーん、正直ちょっと物足りない。もっと迫力がほしい。

柳楽優弥が若い時をやって、田中泯さんが年取ってからをやるというので、期待感がハンパなかったので、尚更そう思ってしまったんだろうな。

柳亭種彦をやった永山瑛太がよかったです。

【映画】 2021年5月23日 「億男」


「億男」見ました。

最初のうち、なんかあんまりピンとこなくて、見るのやめちゃおうかなと何度か思ってしまったけど、見てよかった映画でした。

私もお金に振り回されて生きてます。

お金のために仕事してるし、お金のために心身削ってます。お金があれば、完全な療養に入れて、病気も完治はしないけど寛解はするんじゃないかと思ったりもします。通帳を見てはブルーになります。

お金で買えないものがある、のは本当にそう思う。お金があったって幸せとは限らない。

でも、お金はないよりあったほうがいいと思ってます。

【演劇】 2021年5月18日 「終わりよければすべてよし」彩の国さいたま芸術劇場

 彩の国シェイクスピアシリーズ「終わりよければすべてよし」行ってきました!

徒歩で行けるのでね。散歩の範囲ですよ。駅より近いくらいだし。帰り買い物できるし。

23年、全37戯曲の最終回ですよ。そりゃ行きますよ。満席でしたねー。

吉田鋼太郎さん、藤原竜也くん、横田栄司さんが並ぶと、「あぁ、蜷川さんいるかな」って思うくらいだった。音響ブースと近い席だったから、ついなんとなくちらっと見ちゃったりして。よくあそこで見てたよなとか。

芝居が終わって、舞台上で鋼太郎さんが一人で座って客席に頭を下げて、「王も芝居が終われば、ものを乞います」みたいなことを言ったときに、なんか泣けて。

カーテンコールでバックに蜷川さんの写真が出たときにもまた泣けて。そういや、井上ひさしさんのときもそうやったよね、と思い出した。あまた「ムサシ」やるね。見に行かなくちゃ(何度目だ)。

しかし私はなぜか、藤原くんの顔がよく見えない席をとりがち。なんでなのー。

翻訳家の松岡和子さんもこの作品をもって、シェイクスピア全37戯曲完訳というすごいことだと思う。

パンフレットにこのシェイクスピアシリーズの記録が載ってた。

意外に行けてないんだよなー。

いやー、鋼太郎さんと藤原くんはやっぱり舞台!(他にもそういう俳優さんたくさんいるけど。ちなみに一番そう思うのは勝村政信さん。)

鋼太郎さん最近やたら人気でTVばっかり出てるけど、違うんだよ。舞台の人なんだよ。藤原くんはTVで使いづらいのかあんまりTVは出てないけどね。それでいいよ。映画はいいから。映画ならいい。

これからもさいたま芸術現場でいい芝居やってください。芸術監督代わっちゃったけど、濃い、ガッツリした芝居お願いします。

【本】 2021年5月16日  「死にたくもないが、生きたくもない」小浜逸郎

 「死にたくもないが、生きたくもない。」小浜逸郎著 読了。

タイトルがまさに私の心情そのままだったので図書館で借りたのだが、

私の心情とは違う意味だった。

「人はどうやって老いていくのか」みたいな本だった。これはこれで読んでよかった。

老いを受け入れろ、アンチエイジングなんてみっともない、人間誰でも年を取るんだから。

という意見には大賛同である。また「少子高齢化は止められない」の項にある「(少子高齢化は)自由恋愛の当然の帰結」「男女共同参画のカン違い」にも大いに賛同する。

「長生きは素晴らしいという偽善」というのもまったくそのとおりと思う。

序章は「あと20年も生きなくてはならない」で「命長ければ恥多し」(吉田兼好)

という有名な徒然草の一文を引用している。

この本は2006年初版。著者は当時59歳で、もうすぐ60歳という時だったようだ。

すでにそれから15年経って、今はもっと「老い」に対しておかしなことになっていると私は思う。

世の中、元気な、というか頑張って元気でいる老人が多いから、年金の支給を遅くしたり、働ける人には75歳まで働けるようにしようとかそんな動き。

女性も活躍できるように働ける環境をと言って、私の感覚だとまぁ、30くらいからが一番仕事が楽しくなってくる時期じゃないの?そりゃ結婚も遅くなるし、そうすりゃ子供も産まなくなるよ。

社会がそうなってるのは理解するし、女性大活躍大いに結構。

でも社会の進化(?)のスピードに、人類の進化はついていってない。

女性も社会に出てバリバリ働く世の中になったからって、出産適齢期は遅くはならない。閉経だって遅くはならない。体力は40過ぎたらもうダダ下がりだし。

男性も出産できるように進化もしないし。

私は75歳まで働きたいなんてこれっぽっちも思わない。働かなくていいなら今すぐやめたい。

あと、長生きを目標にしたくない。独り身で、周りに迷惑を掛けるから、できるだけ歩けるようにはしておこうとか、そういう努力はするけど。

若く見られたいなんて思ったこともないし、だいたい、なんで若く見られたいのかがわからない。実年齢なりでいいじゃないか、白髪やシワやシミが増えたって自然のことなんだから。

「いい加減にしろ、全共闘オヤジ」の項にも笑った。

今の日本は高度成長期の再来を信仰して動いてる感じがして気持ち悪いんだけど、(東京オリンピック大阪万博札幌冬季オリンピック)アホかと思う。

全共闘オヤジにも同じものを感じる。

私の思ってた内容とは全然違うものだったけど、面白い本だったのでご紹介でした。