観たり、聴いたり、思ったり
【文楽】和生・勘十郎・玉男三人会(令和5年5月31日)紀尾井ホール

5月31日、紀尾井ホールに文楽を見てきました。
昨年、「和生・勘十郎・玉男三夜」として3年続きで始まった紀尾井ホール主催の会ですが、
今回は昼間にやることになったので、「三夜」から「三人会」に名称変更になりました。

演目は『恋女房染分手綱』の「重の井子別れの段」と『伊賀越道中双六』の「千本松原の段」でした

三人会なので、あんまり登場人物が多いと困るということや、
時間の関係などもあって、
まぁ重の井子別れはあれくらいでもいいかなと思いましたが、
千本松原は「短いな~」と思ってしまいました。いきなり、あのテンションには持っていけない

おそらく紀尾井に文楽見に来る人はほぼ内容を知っている人だから問題ないでしょうが、
そうじゃなかったら、前段の話がわからないと、なんだかわからなすぎる展開。

いやいや、義太夫は「実は」みたいなことがたくさんあるので、話がややこしいです。

しかし、関西舞台さんのあのホールを文楽ができるように作ってしまう技術は本当に素晴らしい。

国立劇場が建て替えになるため、来年からは文楽はあちこちへ流浪するわけですが
シアター1010(せんじゅ)、日本青年館、あとKAATという話も聞いています。
どこも搬入や楽屋が文楽の人たちがやりやすいようにはできていないと思いますが、
頑張って東京公演続けてください。
KAATは東京じゃないですけどね・・・。

【演奏会】第七回山登松和の会(2022/11/22 紀尾井小ホール)

 

第七回山登松和の会、終了しました。
ご来場の皆様ありがとうございました。
構成・舞台進行担当として御礼申し上げます。
素晴らしい演奏会になったと思っています。

今回は企画段階から関わらせていただき、私は昔から山登ファンなので、
もっとみんなに山登さんの素晴らしさを伝えたくて、構成にまで口を出しました。
それがいい方向に出た第七回だったと思います。

もちろん100点はないので、反省点はそれぞれにあると思いますが、
山登さんの魅力はお客様に伝わったのではないかと思います。

*ここまでの写真はリハのもの (c)大森美樹

アンケートも、箏曲の会にしてはかなり皆さん書いてくださいました。ありがとうございました。

山登さんは楽器の音もいいし、声もいいし、見た目もいいし、三拍子揃った、素晴らしい演奏家です。
耳もいいから音色などにもこだわりますし、曲の解釈などもとても細かくこだわります。
これからもっと素敵な演奏家になると思います。いえ、なります!
そのためのお手伝いなら何でもします。

私は本番は袖でずっと「頑張れー」と応援するしかない舞台進行係ですが、
あっという間でもあり、でも山登さんの演奏をたっぷり聴けて、満足しました。

本番時舞台袖の御簾から(c)大森美樹

お客様はどうだったでしょうか。アンケートを今度見せていただきます。
既に何人かの方にはお褒めの言葉をいただき、とても嬉しかったです。

本番時舞台袖の御簾から(c)大森美樹

スタッフもみんな協力してくださって本当に感謝しております。

この演奏会は聴く価値あったと思いますよ!
聴きに来てくださった方はラッキー、来られなかった方は残念としか言いようがありません。
配信の予定もないですしね…。
でももっとたくさんの方に聴いていただきたかった。

皆さん是非今度山登さんの演奏を聴けるチャンスがありましたら聴いてください。

 

山田流箏曲演奏家 山登松和 オフィシャルサイト
https://yamato-showa.com/

 

【コンサート】マリオ・ブルネロのバッハ無伴奏リサイタル(2022/10/28 紀尾井ホール)

紀尾井小ホールはもはや「ホーム」と言ってもいいくらい、仕事で来ているので、お客さんとしてホールに入るのは新鮮です。
しかも小ホールではなく下の大きい方のホール。
四谷から歩いてきて、何も考えずに楽屋口から入ろうとしてしまいました。危ない危ない。

久々にバッハ漬け。家でもバッハを聴いてることは多いのだけれど、チェロはあまり聴かないかもしれません。

マリオ・ブルネロはチェロと、チェロ・ピッコロというチェロよりちょっと小さい楽器を今はお気に入りだそうで、今回もチェロで「無伴奏チェロ組曲」を。チェロ・ピッコロで「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ」を演奏しました。

チェロより小さい、と言っても、ほとんど変わりなく見えました。
しかしブルネロが使っていたチェロが1600年代初頭に製作された楽器ということだったので、普通のチェロより少し小ぶりだと思うから、そう見えたのかもしれません。

チェロ・ピッコロは1600~1610年ごろ製作された楽器の再現複製の楽器ということで、それは見た目にも明らかで、チェロの年月を重ねた色合いや音色と、チェロ・ピッコロのまだ若い感じとはとても違いがあり、聴いていて面白かったです。

チェロ・ピッコロはヴァイオリンより1オクターブ下に調弦されているとのことでした。
ヴィオラはヴァイオリンの5度下なので、さらに下ですね。因みにチェロはヴィオラの1オクターブ下。

ブルネロが使っていたチェロは低音にとても深みのあるいい音でした。

しかし、何が理由か不明ですが、音程が甘かった気がします。古い楽器だから緩むのかな。
ちょっと調弦が甘くなる感じがありました。

 

日本の箏などは古くなったら、スッカスカな音になってしまい、演奏会には全然向かない楽器になってしまうのですが、西洋楽器は1600年代の楽器がまだ現役で使えるというのがすごいです。三味線だって、1600年から使っていたら棹が勘べりしまくって削るから、太棹だったのに細棹くらいになってしまうでしょうね。そしたらもう違う楽器になってしまう。素材の問題かな。

しかし、バッハに浸かって幸せな時間を過ごしました。3時間でしたが、全然長く感じませんでした。