観たり、聴いたり、思ったり
2~3月の振り返り

こんなに忙しい予定じゃなかったのに、なぜか2月、3月はとても忙しく、更新できませんでした。

なので、記録的に、2月3月の振り返りをしたいと思います。

2月1日 上野広小路亭に「じょぎ」を聴きに&裏の下見に。今後義太夫協会の定期が上野広小路亭で行われることもあるため。なんとか記録録音は録れそうであることを確認。

2月9日 「中村仲蔵」を観に、母と池袋ブリリアホールへ。ばったり舞踊家の知り合いに会う。

2月11日 成田市芸術文化センターで長唄と義太夫の会があり、義太夫部門の担当で付き添いで成田へ。20年ぶりぐらいに望月喜美さんにお会いした。

2月14日 三越劇場へ「浄瑠璃の会」を聴きに。織太夫さんと藤蔵さん。前座(?)でまだ研修生を終えて1年目という若手を出して、その後本命へ。若手は男性でもやはり大変だなと思った。三越劇場がいっぱいだったので、人気あるのだなと思った。

2月15日 女流義太夫演奏会2月公演。深川江戸資料館。今回は我々だけで山台を組み、毛氈も敷き、屏風も建てました。1月にプロに手伝いに来ていただき、こつを教えていただいたので、なんとかなった。

2月17日 結城紬のさんち巡り。織りの体験もさせてもらう。とても楽しい時間だった。着物友達もできました。

2月20日 久保浩介博士リサイタル。東京藝大6ホール。昔々に行ったことがあるけれど、随分綺麗に改装されていた。見知った顔ばかり。大学院生で、学内でリサイタルをやるということらしい。

2月23日 歌舞伎座夜の部。

2月25日 歌舞伎座昼の部。

3月9日 義太夫教室75期卒業発表会・卒業生演奏会。浅草公会堂第二和室。なんだかみんな頑張ってお客を呼んだのか、すごい人数に。いつもがらがらなのに。75期は若い人も多かったので、続けてほしいと思う。

3月13日 歌舞伎座夜の部。

3月14日 邦楽ぐるーぷ翔の会 試聴会。これが一番緊張するとみんなが言う。全員集合してみんながそれぞれの演奏を聴き、意見、感想を述べあう。でもこれ大事なことだと思ってます。私は演奏家じゃないけれど、思うことがあっていろいろ言うと、プロの演奏家も同じことを思っていたり、こういう解釈なので、こういう風にしましたという返事が返ってきて、「なるほど」と思うし、プロの意見と同じだと、私の耳もまんざらでもないなと思う。

3月16日 邦楽演奏会第二部を聴きにイイノホールへ。山登社中の次が駒之助+津賀寿だったので、とても儲けも月。やはりイイノホールは音がいまいち。

3月18日 川瀬露秋リサイタル。紀尾井小ホール。歌舞伎関係者との繫がりが多いからか、あふれるのではないかという勢い。なんとか溢れずには済んだけれど、久々にそういうことでドキドキした会。川瀬と言えば胡弓だけれど、三絃も箏も弾きました。葛西さんの機転によりいろいろと助かったけれど、裏はバタバタでしたよ。舞台さんに「裏が大森さんで助かった」と言われて嬉しかった。帰りに「明後日もよろしく」とホールの皆さんにご挨拶。

3月20日 女流義太夫演奏会3月公演。竹本孝之資初舞台。紀尾井小ホール。孝之資さんは長唄では東音河野文さん(三味線)。長唄三味線と義太夫の太夫の二刀流という珍しい人。これから聴きにきてやってください。お客さんは頑張ったらしくかなり入った。えらい。

3月23日 歌舞伎座昼の部。

3月25日 邦楽ぐるーぷ翔の会。北とぴあつつじホール。いろいろあったが、これだけの演奏家が集まっている古典のグループはないと思う。皆素晴らしい演奏。学生さんたちも出演。記念になるといいなといつも思う。

3月30日 従兄弟家族と母と私でお花見。というか「子ども見」。2歳だが人見知り期もすぎたのか、仲良くしてくれるので母も嬉しそうだった。

3月31日 今藤長龍郎の会。紀尾井小ホール。長唄はスカッとしていいですね。「二人椀久」すごくよかった。

 

これだけ行って、且つ週に3日バイトに行って、家でライターの仕事とか、某ホールの仕事とか、義太夫協会の在宅分の仕事とかしてるから忙しいんだな。
さすがに後半ちょっと疲れてきて、体が思うように動かなくなってきました。年を取ったな。
写真はすぐに出てこないので割愛。

移動中はもっぱら読書。2,3月で結構読んだ気がする。

サムネの写真は翔の会の集合写真。学生さん、お手伝い含む。

【演奏会】国立劇場主催 源氏物語音楽絵巻(2024.1.27)
夜は国立劇場の邦楽公演で新国立劇場へ(ややこしい)。
「源氏物語音楽絵巻」
ということで、お芝居も入ったりして、なかなかおもしろい試みでした。

雅楽、舞楽、聲明、箏曲という感じ。

いやぁ、ちょっと現代劇風に役者さんが演じるのはちょっと違和感ありましたが、全体としてはいい企画だったのでは。
昼夜2回公演でどちらも満席。いいことです。
終演後、国立劇場の方にお会いしたので、楽屋行けますかと聞いたらどうぞというので行ってきました。
箏曲「葵の上」「初若菜」の出演は全員よく知ってる人ばかりだったし、
楽器屋さんもよく知ってる人方なのでご挨拶にと。
というわけで楽屋にお邪魔虫したので、演奏者の皆さんと、制作の方と一緒に。
そして推し活はじめなので推し(山登松和先生)と。
【演奏会】演奏会が続いて全然更新できませんでした!

11/4の泰和さんの演奏会からブログを更新していないとか、
もう11月は怒涛の忙しさ。12月もそこそこ入っていたので、ブログを更新している暇がありませんでした。

更に、副業のテープ起こしが繁忙期で、2社と契約しているのですが、交互に入ってきて、
全然ヒマが取れず。

そして12月はじめにはインフルエンザにかかってしまい(予防接種をしたのに)、薬で熱は下がったものの、
諸症状は全然よくならず、非常にきつい日々だったこともあり、ブログを更新できませんでした。(言い訳)

11/4以降の演奏会仕事は下記のとおりです。

11/10 徳丸十盟尺八演奏会

11/13 福田栄香の会

11/17 山登松和の会

11/20 女流義太夫演奏会11月公演

お江戸日本橋亭が建替えのため、最後の公演となりました。名残惜しい。

11/23 山木千賀リサイタル

12/3 素義会

12/17 女流義太夫演奏会12月公演(これは写真がない)

12/25 下野戸亜弓箏曲リサイタル

以上です。

来年の予定もぼちぼち決まってきています。
みなさん頑張って演奏会やりましょうね。

【演奏会】平家物語の世界その7 平家物語の女性たち(2023/9/8 紀尾井小ホール)

平家物語の世界その7 平家物語の女性たち―小督・巴・建礼門院-
の舞台進行をしていました。

 

実は舞台進行のみではなく、チラシ・プログラム製作の進行管理、チケットをカンフェティにお願いしていたので、その管理、ご招待状の送付、ご招待チケットの送付などなど全般担当していました。

お稽古については、演奏者のみなさんと、監修の薦田先生にすべてお任せし、
そのほかのスタッフの方も、もう7回目ともなると、みなさん慣れていて、
さっと説明するだけで済むので、お任せできます。

台風が来ていて、前日からはらはらしていましたが、
思った以上にお客様が来てくださり、嬉しかったです。
ガラガラだったらどうしようかと思いましたから。

演奏は、みなさん本当に、ただ語るだけではなく、情感がこもり、
聞いていて泣けました。

江戸時代など、本当に目の見えない琵琶法師が語っているのを聞いていたら
今よりももっと、時代が近いわけですし、テレビやラジオもない時代、語って聞かせてもらったら
きっとみんな想像力たくましく、それぞれの頭の中でイメージして、泣けてきたりしたのでしょうね。

田中さんの「小督」は山田流箏曲でも曲がありますから、物語や思いが彼の中にあると思いました。
それから彼は高音がとてもよく出るので、声を活かしていたと思います。
(舞台写真はすべてリハのものです)

日吉さんの「巴(木曽最期)」は強い女性として有名ですね。
激しい戦いだったことがわかって、緊迫した感じが出ていました。
平家の中では義仲の気持ちを汲んで、巴が去る時に敵の「頸掻き斬ってぞ捨ててんげる」が一番強烈ですよね。
やっぱり巴かっこいいな、と思いました。

菊央さんの「六道」は建礼門院のお話ですが、自分は生き残るわけですよね。みんなが入水していくのを見て
どんな気持ちだったろうと思います。平家の滅亡をただ見ているしかできないわけで。
聞いていて涙が出そうでした。

平家もはじめのうちは聞いていても物語が頭に入ってこなかったのですが、
だんだん耳が慣れて、物語として聴けるようになってきたらしく、物語の世界に入っていけるようになってきました。
そうなるともう楽しいです。(悲しいお話ばかりですが)

来年もまた9月にやる予定です。
来年は台風が来ないといいなと思います。

【演奏会】女流義太夫演奏会5月公演 鶴澤津賀寿人間国宝認定記念公演

2023年5月7日(日)、GWの最後の日に、
女流義太夫演奏会5月公演として「鶴澤津賀寿人間国宝認定記念公演」を行いました。

私はいつものごとく、舞台監督。
結構な数の人を舞台に上げなければならず、本当に並ぶのか心配でしたが、何とかなりました。

楽屋はごったがえしており、居場所がないので、ずっと舞台袖におりました。

囃子方さんが、蔭囃子も入れてくださることになり、ぐんと豪華で、格式高い感じの演奏会になりました。
また芝居っぽさも出て、ありがたかったです。

こちら2曲目ご祝儀曲「寿詞繭依絲」の舞台の並び。

なにより、紀尾井小ホールを満席にできたことは本当に感謝しかありません。
チケットが買えなかった方もいたくらいで、こちらとしても早々に完売になってしまったため、
ご案内すらできない方もいらして、申し訳ございませんでした。

今、義太夫協会の広報部にかけあって、期間限定でYouTube公開できないか打診中です。

とりあえず、ご報告と、御礼と、当日の雰囲気を少し感じていただくために写真を少し。

「寿詞繭依絲」の本番前、チェック中。

ずっと舞台袖にいましたので、モニターの画面で申し訳ありません。「寿式三番叟」「寿詞繭依絲」です。
「壺阪観音霊験記」は撮れなかった。(出入りがあったので、そのことで頭がいっぱいだった)

寿式三番叟

寿詞繭依絲

 

とてもいい演奏会でした。

ひとつ、言うとするならば。
本来なら絶対いなくてはいけない鶴澤寛也がいなかったことだけが悔やまれます。
楽屋を覗いても何かが足りない気がして、いつもうるさいくらいにいろいろ言ってくる寛也さんがいない、
ということがこんなにも寂しいかと、あらためて痛感しました。
でも天国支部で、応援してくれたと思います。きっと「悔しい!私も出たかった!」と思っていると思います。

 

 

【演奏会】女流義太夫演奏会1月公演(2023/1/22 紀尾井小ホール)

2023年最初の公演仕事は女流義太夫演奏会でした。
22日まで公演仕事はなかった・・・。やばいよなあ。
公演自体が少ないということもあるけれど。

めずらしく1月から紀尾井小ホールでの公演でした。

紀尾井は勝手知ったるなんとやらで、打ち合わせも今月は特に変わったことがなかったため、
電話とメールで済ますことができ、しかもホールに入ったらもう完璧。

スタッフさんとの信頼関係は本当に大事です。

紀尾井小ホールは5階なので、非常に眺めがいいです。
晴れていれば、というか雲がなければ富士山がきれいに見えるのですがこの日は残念ながら見えませんでした。

演奏は『絵本太功記』から「夕顔棚の段」と「尼ヶ崎の段(前)」
『碁太平記白石噺』から「浅草雷門の段」と「新吉原揚屋の段」
チラシに書きそびれたのですが、「浅草雷門の段」は女流でやるのは相当久しぶりだったそうです。

あとは今月から「宵ぶれ」が復活しました。
休憩中に、次の月のお知らせを幕内からするのです。

私は女流義太夫は口上と、宵ぶれがあるのがやはり「らしい」と思います。
コロナで手伝いを減らしたり、一斉に並んで大声を出すことに懸念があったために宵ぶれができなかったのですが、
まぁコロナ感染者は相変わらず多いけれども、

「なにとぞ来月も賑々しくご来場、御願いたてまつりまする」チョン!

 

【演奏会】第七回山登松和の会(2022/11/22 紀尾井小ホール)

 

第七回山登松和の会、終了しました。
ご来場の皆様ありがとうございました。
構成・舞台進行担当として御礼申し上げます。
素晴らしい演奏会になったと思っています。

今回は企画段階から関わらせていただき、私は昔から山登ファンなので、
もっとみんなに山登さんの素晴らしさを伝えたくて、構成にまで口を出しました。
それがいい方向に出た第七回だったと思います。

もちろん100点はないので、反省点はそれぞれにあると思いますが、
山登さんの魅力はお客様に伝わったのではないかと思います。

*ここまでの写真はリハのもの (c)大森美樹

アンケートも、箏曲の会にしてはかなり皆さん書いてくださいました。ありがとうございました。

山登さんは楽器の音もいいし、声もいいし、見た目もいいし、三拍子揃った、素晴らしい演奏家です。
耳もいいから音色などにもこだわりますし、曲の解釈などもとても細かくこだわります。
これからもっと素敵な演奏家になると思います。いえ、なります!
そのためのお手伝いなら何でもします。

私は本番は袖でずっと「頑張れー」と応援するしかない舞台進行係ですが、
あっという間でもあり、でも山登さんの演奏をたっぷり聴けて、満足しました。

本番時舞台袖の御簾から(c)大森美樹

お客様はどうだったでしょうか。アンケートを今度見せていただきます。
既に何人かの方にはお褒めの言葉をいただき、とても嬉しかったです。

本番時舞台袖の御簾から(c)大森美樹

スタッフもみんな協力してくださって本当に感謝しております。

この演奏会は聴く価値あったと思いますよ!
聴きに来てくださった方はラッキー、来られなかった方は残念としか言いようがありません。
配信の予定もないですしね…。
でももっとたくさんの方に聴いていただきたかった。

皆さん是非今度山登さんの演奏を聴けるチャンスがありましたら聴いてください。

 

山田流箏曲演奏家 山登松和 オフィシャルサイト
https://yamato-showa.com/

 

【演奏会】第六回徳丸十盟尺八演奏会(2022/11/6紀尾井小ホール)

本日は第六回徳丸十盟尺八演奏会でした。こちらも最近は私が、舞台進行をしております。

今年は参加申請できる文化庁芸術祭最後の年で、そんなことは知りませんでしたが、参加することができました。

まず何にびっくりって、データ上でしか確認していなかったプログラムの作りにびっくり。糸綴じのプログラムなんて初めてだよ!紙もいい紙でした。そりゃあ入稿があんなに早くなるわけだよね!

糸綴じのプログラム

今回はすべて二重奏の演目でした。「鹿の遠音・鶴の巣籠 吹き合わせ」は録音もしたことがあり(この録音については色々思い出がある)、懐かしい感じでした。都山は田辺頌山さんで、いい組み合わせだったと思います。

本番の時袖から撮りました。

「鶴門」は去年初めて聴いて、その後なんだか続けて聴く機会があったけれども、今日の演奏はよかったなぁと思います。胡弓と尺八の組み合わせなんてまずないので貴重ですね。胡弓は川瀬露秋さん。

本番の時に袖から撮りました。

「残月」は2日前に続きまして、藤井泰和先生ご出演。リハで三味線を色々試しましたが、やっぱり「いつもはこの組み合わせ」という楽器と駒の組み合わせに落ち着き、安心して聴けました。

息もぴったり。長年の付き合いですものね。

「秋風の曲」は先日文化勲章を受章された、山勢松韻先生(人間国宝)と。山勢先生の秋風は聴いたことがなかったのでとても楽しみにしていました。文化勲章を取られた為にまた年齢まで発表されちゃって、びっくりですが、そのお年には見えないほど背筋も伸びて、シャキシャキされていて、さすがでした。お声もよく通って。山勢先生の秋風は初めて聴かせていただきました。最近では珍しいと思います。

リハで。

尺八との二重奏だと糸方は絶対に全部一人で歌わなきゃいけないので大変ですよね。

しかしどの曲も知っていたので進行としては助かりました。

一昨日に続き、いい演奏会だった。さて、あとは後半に曲選びから関わった演奏会があるので、そちらに頭を切り替えます。

【演奏会】第28回藤井泰和地歌演奏会(2022/11/4 紀尾井小ホール)
昨日は第28回藤井泰和地歌演奏会でした。阿部先生27回忌、久仁江先生17回忌追福。もうそんなに経ったかと思いました。
泰和先生の舞台は最近、私が舞台進行をやっております。
配置や照明の具合、音響はマイクないから、演奏者の位置などでいい音がするところを探します。
泰和先生の会には、服部御大がいてくれるので、私が迷っても服部さんが「ちょっと違う」「大丈夫」とか言ってくれるので、安心できます。
そして服部さんとは狙いたい方向性が似ているらしく、思うことは同じだったので決めるのは割と早かったです。
演奏は素晴らしかった!
声もよく出ていたし、音も本番、良かったと。
本番は私は袖でしか聴けないですが、袖でも良かったと思うから、大丈夫だったと思う!
そして立派だった。
銀明会の皆さんも本当によく演奏されてました。
「筆の跡」はリハでは面白いことがありましたが(笑)、まぁ置いておいて、
やはり兄妹だなぁと。こんなにぴったり合う三絃合奏はないのではないかと思いました。
舞台を降りてこられた時、油断して泣きそうになりました。
「四季の眺」は山勢麻衣子さんが山田の方とは思えないお箏の音で、意外でした。
いわゆる山田の曲じゃないからかもですが、柔らかいいい音でした。
あと山田の方は黒の着物がほとんどなので、色の着物を着てらっしゃるのが、いつもと雰囲気が違って、
失礼ながら「かわいい」と思ってました。
しかし松浦検校の転調はいつ聴いても馴染まないわー。作曲された当時は面白かったのかもしれませんけどね。
不思議な曲です。歌詞はいいんですよね。
泰和先生は松浦ものでCDも出しているし、お好きなのかしら。
「磯千鳥」は個人的に思い出の曲でもあり、
また大好きな菊岡検校・八重崎検校コンビの作曲なので気持ちよかったです。
歌詞は「楫枕」を書いた人と同じと伝えられているとのこと。すごく納得。
露秋さんがこのために胡弓の手付をしたとのことで、
菊岡・八重崎の名曲に胡弓手付はプレッシャーだったのではと思いました。
米川文清師のお箏は安定の音。
「残月」は総勢21名の三絃。替手は泰和先生おひとり。本手20人従えての大合奏。
でもちゃんと聞こえてましたよ。袖で聞こえてるんだから、客席も大丈夫だったでしょう。
舞台開いた時におおーってなったのではないでしょうか。
泰和先生はご自分で「緊張するから」とおっしゃってましたが、
昨日はとってもリラックスしているように見えました、そう見せてただけかもしれませんけど、でも本当にいい音と声で、私は満足。
富樫教子先生が4月に亡くなったのを、最近まで知らず、
妙子先生がご出演だったので「お久しぶりです」とご挨拶はしたのですが、
富樫先生にはお世話になりましたし、なんか話題にすると公演本番なのに湿っぽくなってしまいそうだったので、
何も言えませんでした。
阿部桂子先生、藤井久仁江先生、富樫教子先生を偲びつつ。
【演奏会】女流義太夫公演 人間国宝 竹本駒之助・鶴澤津賀寿の至妙(2022/11/1 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール)

渋谷区文化総合センター大和田の伝承ホールは、こけら落としから関わっています。「伝承」というくらいなので、邦楽も扱っているため、ホールの担当者に紹介されて、それ以来のお付き合いです。

渋谷区ではプロジェクトとして伝統芸能を学ぶプログラムがあり、
「伝承ホール寺子屋」としてホールができた時から続いています。

11月1日は「古典の日」というきちんと国が公布した記念日です。
その「古典の日」に女流義太夫公演をやろうということになったのは年度が変わってすぐぐらいでしたでしょうか。

私は、なんとか駒之助師匠の義太夫を、普段なかなか義太夫を聴くチャンスのない人にも聴いてもらいたい
と思っていて、もちろん三味線は津賀寿さんでなければだめで、そのコンビでの演奏会を「渋谷区の主催で」やってもらいたかった。

なので、開館からずっと関わっている人を昨年の義太夫協会の定期公演に招いて、聴いてもらいました。
津賀寿さんは寺子屋の講師もやってくれていたので、みんな知っているけれど、
駒之助師匠の義太夫を聴いたことはなかったので、「是非聴いてもらいたい!」と言って来てもらったのです。

その効果もあってか、総合プロデューサーの鈴木英一先生(常磐津和英太夫師)が津賀寿さんの後輩だったからなのか、春に「駒之助師匠と津賀寿さんにお願いしたいので、都合を伺ってもらいたい」と連絡があり、すぐ確認を取り、無事にお二人とも空いていたので、実現の運びとなりました!

演目を決めるにあたっては「任せる」と言われてしまったので、津賀寿さんと二人で話をし、決めさせていただきました。

駒之助師匠が「殿中刃傷」はあまりやったことがない、というのは先月のインタビューの撮影まで知りませんでした。

しかし、逆に、これは貴重な演奏が聴けるじゃないか!と嬉しく思いました。

そして、津賀寿さんの人間国宝内定のお知らせが入ったちょうどその頃チラシを作成しており、ほとんど出来上がって入稿寸前で「ちょっと待ったー!」と待ったをかけて、国宝発表になったタイミングで印刷に回してもらいました。

今回はいろいろな奇跡が重なって、公演ができた、貴重な会でした。

インタビューの動画は年内には寺子屋のホームページでアップされるのではないかということです。
写真は動画を確認する師匠方。

 

舞台配置なども任されて、舞台監督はずっと渋谷の仕事を一緒にやっている人なので、いろいろお願いしやすく、紀尾井とはまた違った意味で、やりやすかったです。
また、プログラムについてもいつも私がお願いしている方にお願いでき、彼女は義太夫を習っていますから、よくわかっているし、とにかくいろいろやりやすいようにやらせて頂けました。
師匠方もいつもの私がいるので、「いつもと同じ」で、少しは安心していただけたのではないかと思います。

写真は舞台に向かう直前のお二人。

女流義太夫の若手公演の「じょぎ」とかぶってしまったことが、唯一残念ですが(内輪でお客様を二分することになってしまったので)、古典の日は国の公布ですから11月1日から動かせないし、「じょぎ」も1日、2日にやることはもう長年決まっていることなので、仕方がありませんでした。来られなかった人残念!

写真は緞帳があがる少し前のお二人、この時、緞帳前で鈴木先生がお話をされています。

演奏は素晴らしかった。

音出しでちょっと声を出していただいただけで、「師匠、調子いいな」とわかる感じでしたから、
もう全然心配ありませんでした。

  

たっぷりで、立派な「殿中刃傷」で、そのまま「裏門」に続くという珍しいやりかたをしました。でも話がよくわかって、初めて聴くお客様も楽しめたのでは。

駒之助師匠の声は聴きとりやすいですしね。津賀寿さんの三味線は迫力がありますしね。津賀寿さんの三味線は本当に男前です(女性ですけど)。

本当に公演できてよかったです。

私の個人的な「区の主催で、伝承ホールで駒之助師匠と津賀寿さんの演奏を聴いてもらいたい」という夢が一つかないました。

関係者の皆様に感謝いたします。もちろん、こころよく出演してくださった、駒之助師匠と津賀寿師匠にも感謝いたします。感謝してもしきれないです。

さあ、まだまだ今月はいろんな公演が続くぞ!

 

最後に、堺雅人さんから真赤な薔薇が届きましたので記念に。

ちゃんと楽屋でみんなで分けて持って帰りました。真赤な薔薇はいただくとテンション上がりますね。