渋谷区文化総合センター大和田の伝承ホールは、こけら落としから関わっています。「伝承」というくらいなので、邦楽も扱っているため、ホールの担当者に紹介されて、それ以来のお付き合いです。
渋谷区ではプロジェクトとして伝統芸能を学ぶプログラムがあり、
「伝承ホール寺子屋」としてホールができた時から続いています。
11月1日は「古典の日」というきちんと国が公布した記念日です。
その「古典の日」に女流義太夫公演をやろうということになったのは年度が変わってすぐぐらいでしたでしょうか。
私は、なんとか駒之助師匠の義太夫を、普段なかなか義太夫を聴くチャンスのない人にも聴いてもらいたい
と思っていて、もちろん三味線は津賀寿さんでなければだめで、そのコンビでの演奏会を「渋谷区の主催で」やってもらいたかった。
なので、開館からずっと関わっている人を昨年の義太夫協会の定期公演に招いて、聴いてもらいました。
津賀寿さんは寺子屋の講師もやってくれていたので、みんな知っているけれど、
駒之助師匠の義太夫を聴いたことはなかったので、「是非聴いてもらいたい!」と言って来てもらったのです。
その効果もあってか、総合プロデューサーの鈴木英一先生(常磐津和英太夫師)が津賀寿さんの後輩だったからなのか、春に「駒之助師匠と津賀寿さんにお願いしたいので、都合を伺ってもらいたい」と連絡があり、すぐ確認を取り、無事にお二人とも空いていたので、実現の運びとなりました!
演目を決めるにあたっては「任せる」と言われてしまったので、津賀寿さんと二人で話をし、決めさせていただきました。
駒之助師匠が「殿中刃傷」はあまりやったことがない、というのは先月のインタビューの撮影まで知りませんでした。
しかし、逆に、これは貴重な演奏が聴けるじゃないか!と嬉しく思いました。
そして、津賀寿さんの人間国宝内定のお知らせが入ったちょうどその頃チラシを作成しており、ほとんど出来上がって入稿寸前で「ちょっと待ったー!」と待ったをかけて、国宝発表になったタイミングで印刷に回してもらいました。
今回はいろいろな奇跡が重なって、公演ができた、貴重な会でした。
インタビューの動画は年内には寺子屋のホームページでアップされるのではないかということです。
写真は動画を確認する師匠方。
舞台配置なども任されて、舞台監督はずっと渋谷の仕事を一緒にやっている人なので、いろいろお願いしやすく、紀尾井とはまた違った意味で、やりやすかったです。
また、プログラムについてもいつも私がお願いしている方にお願いでき、彼女は義太夫を習っていますから、よくわかっているし、とにかくいろいろやりやすいようにやらせて頂けました。
師匠方もいつもの私がいるので、「いつもと同じ」で、少しは安心していただけたのではないかと思います。
写真は舞台に向かう直前のお二人。
女流義太夫の若手公演の「じょぎ」とかぶってしまったことが、唯一残念ですが(内輪でお客様を二分することになってしまったので)、古典の日は国の公布ですから11月1日から動かせないし、「じょぎ」も1日、2日にやることはもう長年決まっていることなので、仕方がありませんでした。来られなかった人残念!
写真は緞帳があがる少し前のお二人、この時、緞帳前で鈴木先生がお話をされています。
演奏は素晴らしかった。
音出しでちょっと声を出していただいただけで、「師匠、調子いいな」とわかる感じでしたから、
もう全然心配ありませんでした。
たっぷりで、立派な「殿中刃傷」で、そのまま「裏門」に続くという珍しいやりかたをしました。でも話がよくわかって、初めて聴くお客様も楽しめたのでは。
駒之助師匠の声は聴きとりやすいですしね。津賀寿さんの三味線は迫力がありますしね。津賀寿さんの三味線は本当に男前です(女性ですけど)。
本当に公演できてよかったです。
私の個人的な「区の主催で、伝承ホールで駒之助師匠と津賀寿さんの演奏を聴いてもらいたい」という夢が一つかないました。
関係者の皆様に感謝いたします。もちろん、こころよく出演してくださった、駒之助師匠と津賀寿師匠にも感謝いたします。感謝してもしきれないです。
さあ、まだまだ今月はいろんな公演が続くぞ!
最後に、堺雅人さんから真赤な薔薇が届きましたので記念に。
ちゃんと楽屋でみんなで分けて持って帰りました。真赤な薔薇はいただくとテンション上がりますね。